籠の鳥
そう言ってまだ暴れる僕から棒を奪い、投げ捨てた。

僕を振り向かせ、しっかり抑える。

「まだら!おいしっかりしろ!!」

強く揺らされて、やっと僕は正気に戻った。

丸くなった目でざくやを見る。

「…ざく、や…?」

「…悪かった。俺、あんな酷いこと言って…ホント、ごめん」

最初は驚いたが、僕は静かに笑ってざくやを見た。

「ざくやが帰ってきてくれただけで凄く嬉しいですよ。ありがとうございます」

「まだら…」

ざくやも微笑して僕を見る。

それを端から見ていたやつはさんは身体を起こした。

「あれ?だーいじょーぶー?」

「お前さっきから煩いから。大丈夫だっつの。感傷に浸ってねぇで、どうしたんだよさやは」

そう言って焚き火の隣に気を失っているさやを見た。



ざくやは立ち上がってやつはさんを見た。

「分からない。突然さやが俺を攻撃してきた。こうするしか他なかった…。妖怪にも襲われてな」
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