籠の鳥
「お前がやったのか!…と言いたいところだが、妖怪が来ては仕方ない。大丈夫だったのか?」

「ああ…まあ…」

複雑な顔をして自分の剣を触った。

「さっきのまーくんもさやと同じさ。ただ血が薄かっただけ。だから正気に戻れた」

「何からだよ?さっぱりだ」

何も見ていないやつはさんはコートを引き寄せながらマオに訊いた。

「ここの妖気さ。妖気で起こした磁場から、また狂った妖気が発生しているんだ。だからこの森にいる妖怪は既に酔いしれっていて人間を襲うことしか考えない。この森を抜けると、どうやらオジサン達の目的地だがな」

「なら早くここから出ようぜ。それでさっさと用事を済ませるんだ」

「それは無理だよ、やっくん」

水を差すようなことを言ったマオをキツく睨んだ。

僕は慌てて言う。

「僕会ったんですよっ!目的地からの遣いに…」

それを言うとざくやとやつはさんの目が変わった。

僕の次の言葉を待っている。

僕はためらわずに話した。

「僕を探していたのは、妖怪の母でした」

予想通りの反応を2人はした。
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