籠の鳥
「そろそろ出ないとだな。長居は出来るだけ避けた方がいい。ざっくん達の荷物は既に準備してある」

マオは小刀を腰に刺して荷物を指定した。

ざくやが荷物を持つ間、マオは僕に近付く。

「まーくんのはこれだよ。前のものはもうボロボロだったからね。……よっぽど逃げたようだったね」

フウに差し出された布を広げながらマオの話を聞いた。

広げて気付く。

「…………!これ‥」

「新しいコートだよ。少しは妖怪の目を欺けるだろ?」

「マオ‥ありがとうございます」

マオは笑ってから、さやに荷物を背負わせるざくやに振り返った。

「さて、ざくや。これからどこへ向かう?」

僕はコートを羽織りながら聞いていた。

ざくやは中腰から戻って顔をあげた。

「取りあえず情報収集をしないとなって思ってる。まだらを助けるにはその親玉をこらしめないとだし…」

「…それで結局どこ行くんだよ?」

「………。」

嫌な無言。



マオはため息をついた。
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