腹から叫べ!

「私はその病気がどういうものか知りませんでした。

だけどもう、彼女が長くないことは悟りました。

だから精一杯、彼女を楽しませようと頑張ったんですよ。モノマネしたり、歌ったり、楽しい話いろいろして。

始めの内は笑っていた彼女も、だんだん反応が無くなってきました。別に私の話がつまらないわけではなくて、笑う体力すら無くなっていたのです。

それでも彼女は、話して、と言うので私は話し続けました。

やがて彼女は話すこともできなくなりました。だけど私は話すことをやめませんでした。

若いので病気の進行も早かったんですよね。

そして3年前の今日、彼女は天国に旅立ちました。」

「うっえぐっおえっ」

隣でカノがしゃくりあげている。

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