腹から叫べ!

「カノ君泣かないでくださいよー。」

「っうぐっそんなことっ言ったって…ぐひっ!」

「ほら、涙を拭いて。」

ユラがポケットからハンカチを出した。

「ユラ君っも…泣いてっいっよっ」

「私はお葬式の日にいっぱい泣いたからいいんです。それに、泣かないって彼と約束しましたから。」

「…彼?」

「…ええ。私は彼女の死がとてつもなく辛かったんです。まあ当たり前ですがね。それに、人の死というものを間近で見るのは初めてでしたから。

そしてお葬式の日、私も彼女のもとに旅立とうと思って、歩道橋の上に立ったんです。」

「!」

「その時、後ろから声が聞こえました。『お、5円発見!』って言う声が。」

「は?」

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