腹から叫べ!

「カノー。いいぞー。もっと笑えー。」

…はあ。

「…ナイン君…カメラなんて持ってたっけ?」

写真を撮りながら近づいてきたのはナイン君。

「いやー、カノの父さんに頼まれたんだよ。近くで撮ってきて、って。」

「近くにも限度があるだろ。ピント絶対あってないだろそれ。最早何撮ってるかわかんねえだろ。」

ナインのカメラはカノの顔スレスレまで近づいていた。

「ほら戻るぞ。」

カノはナインの首根っこをつかんでステージ袖に戻っていった。

『はいありがとうございましたー。続いては…』

それからまた何組かが叫んだ。

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