先生との恋☆Second・Story☆完結☆
少し間があいた後に、高橋の声が聞こえてきて。
俯きがちだった顔を上げるとまっすぐあたしを見ていて。
――――なんで。
その顔を見て、思わず自分の顔が歪むのが分かった。
……どうして、高橋がそんなに苦しそうな顔であたしを見るのよ。
あたしよりも苦しそうな顔。その理由が分かってるからこそ、こんな事だけ素直に高橋に言ってはいけなかったとすぐに後悔が生まれた。
出来た傷でこうした些細なことで嫌な気持ちになっているあたし。
そのあたしを治す為とは言え……傷を付けたのは高橋。
だからこそ、あたしが今こんな事を思っているのを目の前で見て、あたしから聞いている高橋がこんな顔をしてしまうのも……分かる。
思ってても、“傷”の話はするものでは無かった。
後悔というよりも、高橋にこんな顔をさせてしまったという罪悪感。
「やっぱり僕がするって須藤先生に連絡しようか?」
力なく、無理矢理に作られた表情で、高橋は胸ポケットに入れていたPHSを取り出した。
あたしの気持ちを尊重しようとしてくれてる。
でも。
「ううん、須藤先生がわざわざ変わってくれたんだし、行って来る」
「でも、」
「須藤先生も医者だし、あたしみたいに傷のある人なんて何百人と見てるよね」