先生との恋☆Second・Story☆完結☆
素直に返事をした私に、ふっと力を抜いた須藤先生。
まるで、かわいそうなものを見るような目で。
ピンク色の、綺麗にひかれたルージュが弧を描く。
「構ってほしい気持ちも分からなくもないけどね?」
「え?」
「あなた。高橋先生のことが好きなんでしょう?」
真っ直ぐに言われた言葉に、ドキっとする。
「心ちゃんはなんだかんだ好きだもんね」
固まり須藤先生の目を見たまま何も言えない私に、後ろから看護師さんが言う。
「ちがっ、」
「奇遇ね、私も好きなのよ」
否定しようとする言葉に、被せられた自信満々の言葉。
「先生、患者さんにそんなこと言っちゃってもいいんですか?」
「いいじゃない。女子トークでも盛り上がるのも楽しそうだし。若い子の意見を聞くのも楽しいかなって」
クスクスと笑いあう看護婦さんと須藤先生。
「心ちゃんと須藤先生ライバルですね~」
そうだ。
高橋はあたしとのこと、病院の人には言っていない。聖君は知ってるし、清水先生も気付いているけれど後の人たちは何も知らない。
この看護師さんと須藤先生の会話を聞くに、須藤先生はこうして看護師さんに高橋のことが好きだと公開してるのか…。
そしてきっと、言っているのはこの看護師さんだけじゃなく、他の看護師さんたちにも。
味方を付けて、協力させようとしてるのか…。
幸い看護師さんたちの言う、あたしが高橋のことを好きというのは、あたしが清水先生に対する”好き”と同じ部類の好きだと思っている。
だけど…須藤先生の”好き”は本気だ。
「お似合いですよねーいいなぁお医者さん同士」
「年も年でしょ?実家帰る度に結婚はまだか~孫はまだかってうるさくて」