先生との恋☆Second・Story☆完結☆
ぼうっと電話の向こうの話を聞いている高橋の表情を眺めていれば、だんだんとその表情が険しくなってくる。
すぐに行こうとしないから急患ではないことが分かるけど。
「はい…探します」
最後にそう呟いたことで、電話の話が何だったのか全部分かってしまった。
「脱走か」
電話を切り終えたと同時に高橋に言えば、困った顔をしてピッチをしまう。
「外に言ったみたい。部屋着があったみたいだから」
外ね…。
立ち上がった高橋につられてあたしも立ち上がる。
「いーじゃん。行かなくても」
つい、口をついて言ってしまった言葉。
その言葉にえ?とあたしを見たのは高橋で。
「自分の意思で出て行ったんだから放っておけばいいじゃん」
あの子だって、自分で病院の外に行ったんだから、そのあとどんな状況になっても覚悟はできているはず。
高橋が探しに行く必要はないと思う。
「…そういうわけにはいかないよ。もし発作でも起こしたら」
「自業自得でしょ?」
「岡本さん」
そんなことを言うなと高橋が止める。
でもそうじゃない。
「…自分もそうだったから分かるでしょ?いつどうなるか分からないんだから安静にしとかないと。覚悟もせずに手術しなくちゃいけなくなるんだよ」
高橋の言葉が、降ってくる。