先生との恋☆Second・Story☆完結☆
楽しそうな聖くんとは反対に、あたしは小さな溜息。
「…あ、噂をすれば。心ちゃん、」
窓の外を見たまま、聖君にぐいっと腕を掴まれて、あたしは聖君の背中に隠される。
ぶつかったまま、聖君の体から顔を覗かせて見てみれば。
「あ…見つかったんだ」
「見つかった?何。あの子も抜け出し癖があるの?」
見下ろす病院の入り口に高橋と笑顔で歩いてる女の子。
高橋は真面目な顔で何か言ってるところを見ると…抜け出したことについての小言だろう。
全然女の子の耳には入ってないと思うけど。
もう院内にいるってことは、そんなに遠くには言ってなかったのかな。早かったな。
「秋も大変だねぇ…」
とても大変そうに思ってそうには見えないけれど。楽しそうに見物してる聖君。
ほらね。
発作なんか起こさずに帰ってくるんだから迎えになんか行かなくてもいいのに。
全然元気じゃん。
羨ましいくらい…。
「秋くんの患者さんはいつも抜け出すねぇ…」
そうだね。
そう、言おうと思ったのに。
「……っ、」
―――くる。と思った。
はっと大きく息を吸った瞬間、体全体が跳ねる。
次にくるのはバクッ、バクバクと言う明らかにおかしな心臓の拍動。
ぐっと心臓を押し込むように掌を胸に強く押し合てて、前かがみになる。