先生との恋☆Second・Story☆完結☆
だけど、それが本当の事なのかどうかは分からない。
高橋がそんな想いであたしの傍にいるなんて思ってない。
思いたくもないけど……もしかしたらって思ってしまうあたしがいる。
高橋を信じられないとか、疑ってるとかじゃなくて。
もし、あたしが高橋の患者じゃなかったら。
大人しく手術を受けてたら。
高橋が執刀じゃなくて清水先生が執刀してたら……
高橋は、あたしと付き合ってた……?
「本当に何にもないから。気にしないで」
「でもっ、」
「何も無いって言ってんでしょ!?」
しつこくて、思わず張り上げてしまった声。
部屋に反響した自分の声に、あたし自身が驚いてしまった。
高橋も目を見開く。
……久しぶりに、高橋に対してこんな態度取ったかも。
心配してくれただけなのに、あたし1人がイライラして……
高橋からしたら訳が分からないよね。
「……ごめん。本当に何でも無いから」
取り繕うように笑顔を作って高橋に言えば、まだ何か言いたそうな顔をしてたけど黙って立ち上がる。
「何もなかったらいいんだ」
「……うん。ごめん」
やってしまった…。
自己嫌悪に陥ってしまう。
「どうして……謝るの?」
「え、」
ぽつりと落とされた高橋の声。謝ったのに意味なんてない。
静かになった室内に、高橋がすっと息を吸ったのが聞こえた。
「僕の方こそ、ごめん。しつこかったね」
高橋こそ。
どうして…謝るの。
ぐっと胸を締め付けられる。
「何かあったらいつでも言ってくださいね」