先生との恋☆Second・Story☆完結☆
ソレが生まれる前に、と。
高橋も所詮傷物を嫌がるただの男だったんだ、と。
悲しみではなく怒りが心の中を支配するように思い込んで。
結局あたしは素直じゃなくて意地を張ってしまうんだ。…可愛くない。最後くらい笑顔でありがとうございましたくらい言えばいいのに。
高橋から視線を逸らして真っ直ぐ病院の出口へと向かった。
背中に、高橋の視線を感じていたけれど、すぐにそれは消えて。
かつがつエレベーターが見える範囲まで離れてゆっくりと振り返った時には、エレベーターのドアは閉まっていて、高橋の姿はもう無かった。
「終わっちゃった……」
蒸し暑い外の空気に反して、あたしの体はひんやりと冷めてくばかりだった。