先生との恋☆Second・Story☆完結☆
今までの何気ない言い合いが一気に冷めた空気の中、聖くんの探りながら話し掛けてくる声だけが耳に届く。
クーラーを入れたせいで、部屋の窓もドアも全て閉めきられていて。
うるさいはずの蝉の声も聞こえない。
静かじゃなくて、他の雑音が聞こえてきてくれたら、ちょっとは何かが違うかもしれないのに。
聞こえなかったふりも、出来ず真っすぐに聞こえてきたその質問に答えなきゃいけなくなる。
「……ちょっと、ね」
膝に口を埋めながら答える。
「……聖お兄さんは、大人としてまぁ、二十歳過ぎとは言え若い女の子を保護するにはそれなりの理由を把握する義務があります」
天井の電気を見ながら、突然宣言するかのように言い出した聖くん。
お兄さん――?少し際どい部分もあるけれど、この空気の中はスルーしようと決める。
「うん」
「監禁した、とか身に覚えのない罪着せられても困るし?」
「それはない……」
膝に埋めたまま、目線だけ聖くんの方を見れば視線が絡まり、ニッコリ聖くんが笑う。
「理由があって秋んちに帰るどころか居場所を知られることもされたくないってことか。……本当は理由、今すぐにでも聞きたいけど、せっかく心ちゃんが頼ってきてくれたから今日は聞きません」
そのまま立ち上がった聖くんはキッチンの方へ歩いていって。
「お菓子食べる?」
全く関係の無いことを聞いてくるから拍子抜け。
「……何のお菓子?」