先生との恋☆Second・Story☆完結☆
『―――え…心…?』
向こう側から、
聞こえてきた瞬間。
時が止まったかのように、心臓が跳ねた。
無音空間の中に入ったかのように、だけど入ってきた声はしっかりと届いて。
声の主は、あたしが今一番聞きたくない声で。
だけどすぐに誰なのか分かってしまう声で。
すぐに切ろうとするけど、それさえもできないくらい驚いて
固まってしまう。
黙り込むあたしと同じように向こうも予想外の人物が電話に出て驚いたらしく、少しの間向こうも無言になったけれど、
すぐに聞こえてくる。
『どうして心が聖のケータイに出るの?』
「……っ、」
『心だよね?……聖は?心今どこにいるの?』
答えない私に畳み掛けるように高橋の質問攻めが始まる。
何か言わなきゃ、と思うけれど、喉がカラカラで。
『家にも帰ってないって聞きました。……どこにいるの?』
答えない時点で電話の相手があたしだと肯定していることになる。
『……もしかして、聖の家?』
居場所を当てられて、
はっ、と息が漏れる。
知られた…。切らなきゃ。
今すぐこれを切って、早くここから逃げなきゃ。
分からないけれど、
きっといつもあたしが病院から逃げ出しちゃった時のように、高橋はここに来る。
耳から離そうと震える手に力を入れれば。