先生との恋☆Second・Story☆完結☆
「ただいまーーっ!今日は俺のが遅かった……て心ちゃん?」
「っっっ…、」
ガチャガチャといつものように慌ただしく帰ってきた聖くん。だけど、反応できない。
「心ちゃん!?どうした…、」
無言で耐えるあたしにびっくりしたように駆け寄ってきた聖くん。
私の横で背中に手を当てながら握っていた携帯を取り上げられる。着信履歴とこのあたしの状況からあたしが高橋と話していたと気付いたんだろう。
スマホをそのままぽんっと投げると、
黙って背中を擦ってくれる。
「ごめ…勝手に電話でて…」
息を吸いながら言えば、「喋んな」と言われる。
「……いや、忘れてった俺が悪いし。病院から俺がかけたと思ったんだよね?ごめんな」
聖くんの申し訳なさそうな声音にううん、と首を左右に振る。
軽率に出てしまったあたしが悪い。
病院っていう表示なら、高橋からかもしれないって少しは警戒するべきだった。
「はぁ…っ、」
「辛いな…きついな…」
あたしの心の中を代弁するかのように落としてくる聖くんの言葉に、迷惑かけてごめん。と心の中で謝る。
「っ、……ふぅー…もう大丈夫」
呼吸を整えて、ほっと落ち着いたところで、撫で続けられていた背中の手も止まる。
――行かなきゃ。
立ち上がろうと床に付いていた手に力を込める。
「、どこいくの」
それを背中に置いてある聖くんに止められる。
涙目のまま、聖くんを見上げる。
「高橋に、聖君の家にいるってばれちゃった。絶対に迎えに来る、逃げないと」
「大丈夫だよ、秋は今日当直だから。こない」
「でも……、」
「仕事ほっぽり出したりはさすがにしないだろうから安心して」
そう言われるけれど。それでも明日に先延ばしになるだけだ。