先生との恋☆Second・Story☆完結☆
「大丈夫。俺が会わせないから。今まで通りここにいて。逃げようなんて考えなくていいから」
大丈夫だから。
落ち着かせるようにそう言う聖くんに安堵の意味での涙が零れる。
ほら、と両手を広げた聖くんに、そのまま倒れこむように首に手を回す。
胸に押し付けた顔。匂うのは、お菓子の甘い匂い。
今日は、真っ直ぐに帰ってきてくれたんだ。
「苦しいな…。苦しいよな…」
あたしの後頭部に手を置いて、力を込めて抱きしめながらぽつりと言った言葉にはぁ、と息が漏れる。
「こんなふらふらなのに、逃げようとするなんて…」
私は聖君の胸に力なくすがりつく。
耳に残る、困惑した高橋の声。必死な高橋の声。
「…声」
「え?」
「高橋の、声。なんかおかしかった…」
「声?」
上から落ちてくる疑問の声に、思い出す。
最初は気付かなかったけれど。
「…掠れてた」
「そっか」
うんと頷けば、ぐっと聖くんの腕の力が強まる。
「今はゆっくり休みなさい」
そう言われて、一気に力が抜けていく――――