先生との恋☆Second・Story☆完結☆


後で聞けばよかったのだけど。思わず聖君に聞いたのは、少したっても聖君が動かなかったから。


さっきまで急いでいたのがウソのように。


後ろにいるからどんな表情をしているのか分からなかったけれど、


声をかければ、我に返ったように息を吐きだした。

「…行くよ」


「え、ちょ、」


てっきり女の人に話しかけるかと思ったのに。


やっと動き出したと思えば私の手を掴んだまま動きを進めて。


驚く私と、女の人。


「…今急いでるから」


一言だけ。それも冷たく。


女の人にそう言ったかと思えばそのまま階段を下りていく。


すれ違いざま、一応私も頭を下げたけれど、

女の人は聖君の表情を悲しそうに見つめているだけで。


…何かあったなんて、聞かなくても分かる。


けど、今はそれどころではないし聖君に聞く状況でもないことは分かっていたのでそのまま聖君に引っ張られるまま車に乗り込んだ。


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