先生との恋☆Second・Story☆完結☆
「間近……?」
やっぱ、とか、間近で見た、とか。
呟いたあたしに、黒須さんは顔を戻した。
「心ちゃんがね、まだ入院してて病院を抜け出して、外で秋が必死に連れ戻そうとしてる所見かけた事あるんだよね」
……いつ、なんて聞けない。
心当たりがある場面が多すぎる。
「遠目から見てても可愛いなーって思ってたし、秋困らせるし。
厄介なのの担当になったなーって思ってたら……まさか付き合っちゃうなんてねー!」
クス、と笑いながら首だけで高橋の方を向いた。
何この人。
「だから会わせたくなかったんだ……」
黒須さん越しに見えた高橋は困ったような、呆れたような顔をしていた。
「これからよろしくね」
「いいから。…あ、そうだ……鍵出して」
思い出したらしく、高橋は手を差し出す。
その瞬間、あたし達から距離を取り顔を左右に振る黒須さん。
「やだ」
…女子か。
「いきなり来たら心が驚くでしょ。びっくりさせて、おまけに走らせて。心臓に悪い事させるから……返して」
走った、って言っても大した距離じゃないから心配しなくても良い……とは言えない。
いきなり来られるのはさすがに困る。
すっごくびっくりしたんだから。