先生との恋☆Second・Story☆完結☆

喜びの贅沢



……暇。


すっかり持ってきた荷物を片付け終えて、殺風景だった部屋が多少生活感溢れる光景になった。


それにしても、暇。

自分から入院を選んだ癖に、やっぱりここは退屈で。


……お腹空いた。時計を見ると、そろそろ昼食が持って来られる頃。


そして、時間通りであれば高橋が昼休みに入る頃じゃないかな。

ただの検査入院の患者も、あの薄くてあんまり美味しくない病院食を食べなきゃいけないのだろうか。


それは、絶対にやだ。

……食堂、があったよね。


あたしは利用した事が無かったけれど。

ここで働く人達や、一般の人が食事をする為にある大きな食堂が。

話には聞いていて、行ってみたいと思っていたけれど、あそこは看護師さんや先生がわんさかだから。

あたしを知ってる人に見付かったら部屋に連れ戻される。


そう思っていけなかったんだよね。……今なら、別に行っても平気でしょ。


ここでじっとしておくのも退屈だし。

あたしは、初めての食堂に期待しながら、財布だけを持って部屋を出る。


個室の良い所は、周りを気にせず快適に過ごせる事。


前は2人だったし、お互い静かだったから煩いと感じた事は無いけれど、会話が筒抜けだった。


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