貴公子と偽りの恋
お弁当を食べ終わり、私達は手摺りを掴んで校庭の方を見ていた。

適度に風が吹き、暑さはあまり感じなくて、むしろ気持ち良いぐらいだった。

「なあ、遼に何かされなかったか?」

「何かって?」

「ん…、抱き着かれたり、キスされたりとか…」

「き、キス!? どうして?」

「おまえを竹中恵と間違えてさ」

「そんなわけ、ないじゃない」

「いや、そっくりだからさあ、有り得るって…」

香山君は、本気で私とメグちゃんが似てるって思ってるんだなあ。
他の人は誰もそう思わないのに…。目が悪いのかなあ。

仮に水嶋君が私をメグちゃんと間違えたとしても、教室でみんながいるところで、抱き着いたり、ましてキスなんてするわけないでしょ?
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