貴公子と偽りの恋

「どうして？」

どうしてなんだろうな。俺が聞きたいよ。

「俺も知らないから。メグの事は俺もあまり知らないんだ。兄弟がいるのかいないのかとか、何にも知らないから」

とっさにそう言ったものの、優子はそんな説明で納得しただろうか…？

本当は竹中恵の事はある程度知っている。兄貴が西高のバレー部でエースだという事も。

自分で言い出した事とはいえ、何でこんなにややこしい事になっちまったんだろう…

俺は思わず『ハァー』と深い溜め息をついていた。