貴公子と偽りの恋
「『香山君』と『篠原さん』だったあの時に戻って、やり直したいんだ」

「………?」

私は香山君の言ってる意味が分からなくて、ただひたすらに香山君を見詰めていた。

「俺の事、嫌いになっちゃった?」

私は『ううん』と首を横に振った。

嫌いになんかならないよ。ますます好きになってるよ。

「良かった。もう一度、告白してくれないか?」

「え?」

「嫌かい?」

「恥ずかしいよ…」

「頼む。俺にやり直すチャンスをくれ」

恥ずかしいだけじゃなく、怖くもあった。もし、もう一度告白して、香山君にはっきり拒まれたら、前以上に悲しい思いをすると思う。

どうすればいいの、お母さん?
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