貴公子と偽りの恋
頭に描いたお母さんは、ニッコリ笑いながら『頑張りなさい』と言ってくれた。

そうだね。私、頑張るね。


「私は……1年の時からずっと、香山君が好きでした。今は、もっと好きになって、大好きです」

香山君の目を真っすぐ見ながら言えたけど、言い終わった今は恥ずかしいのと、香山君の返事が怖くて、下を向いてしまった。


「顔を上げて」

香山君にそう言われても、私が下を向いたままでいると、私の顎の下に香山君の指が掛かり、ゆっくりと顔を上げさせられてしまった。

「君の目を見て言いたいから…」

香山君は、とても優しい顔をしていた。

「俺も君が…好きだよ」
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