貴公子と偽りの恋
「お母さん、どうして起こしてくれないのよ!?」

ダイニングでのんびり座ってるお母さんを見つけ、つい私は怒鳴っていた。

お母さんに起こすように頼んでいたわけでもなく、高3にもなって寝坊するのは自分の責任、という事は分かってるんだけど、甘えというか、八つ当たりというか、お母さんにはついそういう態度を取ってしまうのよね…

「もう…。モタモタしてたら待ち合わせに遅刻……って、えーっ!?」


「やあ、おはよう」

ドアの陰で見えなかったけど、なんと、お母さんの向かいの椅子に、裕樹が悠然と腰掛け、手にはコーヒーカップを持って微笑んでいた。
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