貴公子と偽りの恋
「お、おはようございます。ど、どうして…?」

裕樹とは駅で待ち合わせたはずなのに、なんで家にいるの?

「早過ぎたから、迎えに来た」

「外でお待たせしちゃ失礼だから、上がっていただいて、今お茶を差し上げたところよ。これからあなたを起こしに行こうと思ったところだから、ちょうど良かったわ」

「ちょうどって…」

状況が飲み込めて少し落ち着いたものの、慌てなきゃいけない事態である事には変わりがない。

というのは、今日から裕樹と進学塾の夏期講習に行く事になっているんだけど、私が寝坊したばかりに、1時間目の講習に遅刻しそうな状況だから。
< 163 / 169 >

この作品をシェア

pagetop