貴公子と偽りの恋
「どうして?」

「ん? それは…誰かさんの、”はしたない”姿を見ちゃったからだよ」

「は、はしたないって…!」

今朝の私の起きぬけで、ほぼ下着姿という、恥ずかし過ぎる姿を思い出し、顔がカーッと熱くなった。

「あ、あの事は忘れてください…」

か細い声で私が言うと、

「いや、悪いけどそれは無理。可愛くて色っぽい優子が頭にこびりついて、勉強どころじゃない、って感じだよ」

と言われ、ますます顔が熱くなった。
裕樹に『可愛い』とか言われるのって、未だに慣れない。嬉し過ぎて、舞い上がってしまうの。

でも、

「色っぽくはないと思うけど?」
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