貴公子と偽りの恋
4時間目の授業が終わり、とうとうお昼休みになってしまった。

「け、恵子。わ、私、行ってくるね」

「うん、大丈夫?」

「だ、大丈夫、と思う」

「あ、待って。シュシュ」

「しゅ、しゅ?」

「外すんでしょ?」

「あ、そうだった」

私は手を後ろに回してシュシュを外そうとしたけど、指が振るえてうまく行かない。


「もう、しっかりしてよ」

恵子が私のシュシュを外し、ブラシを出して私の髪を梳かしてくれた。

「ありがとう」

「いいのよ。さあ、貴公子を待たせちゃいけないから、急いで行こう?」

「一緒に行ってくれるの?」

「手前までだけどね。あんた見てると、心配で…」
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