貴公子と偽りの恋
香山君だ…
来てくれたんだ…
真っ白な半袖のワイシャツから出た、二本の小麦色の逞しい腕。
両手をズボンのポケットに突っ込み、真っ直ぐ私に向かって歩いて来る。
他でもなく、私に向かってだ。
私はもう、その事だけで胸が一杯になった気がした。
私のために香山君が何かをしてくれて、たとえ一言でも言葉を交わせるなら、それだけで十分な気がした。
5メートル、4メートル、3メートル。
香山君との距離が縮まっていく。
何か言わなきゃ…
2メートル、1メートル!
「あ、あの…」
「待たせたかな? ごめんね」
初めて近くで聞いた香山君の声は、低くて素敵な声だった。
来てくれたんだ…
真っ白な半袖のワイシャツから出た、二本の小麦色の逞しい腕。
両手をズボンのポケットに突っ込み、真っ直ぐ私に向かって歩いて来る。
他でもなく、私に向かってだ。
私はもう、その事だけで胸が一杯になった気がした。
私のために香山君が何かをしてくれて、たとえ一言でも言葉を交わせるなら、それだけで十分な気がした。
5メートル、4メートル、3メートル。
香山君との距離が縮まっていく。
何か言わなきゃ…
2メートル、1メートル!
「あ、あの…」
「待たせたかな? ごめんね」
初めて近くで聞いた香山君の声は、低くて素敵な声だった。