貴公子と偽りの恋
「そろそろ、彼女を作ったらどうだ?」

「そんな気にならねえよ。というか、おまえに言われたくない」

「すまん」

「謝られると、余計にムカつく」

「………」

「今朝も一緒に登校か?」

「ああ」

「ラブラブだな」


俺は篠原優子の手紙を読んだ。
昼休みに裏庭に、か…

どう見てもこれは告るための呼び出しだよな…

あの『がり勉女』が、俺をか…

と言っても、昨日までの俺、つまり『微笑みの貴公子』という上辺に、憧れただけだろうけどな。

俺は篠原優子を知っていた。
試験の度に絶えず上位に書かれたその名前を見て、どんな女か見に行った事がある。
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