貴公子と偽りの恋
改めてスッキリした視界で香山君を見ると、気のせいか顔がほんのり赤く見えた。

「さあ、どうする?」

どうしよう…
どんな条件でも飲むつもりだったけど、他の女の子の身代わりだなんて、酷すぎるよ…

「プライドが許さないよな? 断ってもいいんだぜ」

プライドか…
香山君と付き合えるなら、プライドは捨てても構わない。でも、間違った事はしたくない。

私を誰かの身代わりにするなんて、香山君、間違ってるよ。
きっと不幸になる。私も、香山君も。

だけど、今ここで断れば、香山君との接点は無くなる。二度と香山君に触れてもらえない。言葉を交わす事さえ、出来ないかもしれない。
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