貴公子と偽りの恋
部屋で勉強をしていたら、ドアをノックする音がして、そっちに目をやると紳一が部屋に入って来た。

学校で紳一から、『帰ったら説明してもらうからな』と言われた事を思い出した。

どうしよう…

「姉貴、どうして竹中恵に会いに来たんだよ?」

「それは…香山君は、どういう子が好きなのかな、って思ったから…」

「やっぱりそうか。で、どうだった?」

「可愛かった。だからちょっと、真似しようかな、なんて」

「な、なにぃ!? どういう意味だよ?」

「つまり、イメチェン?」

「何言ってんだよ。姉貴は今のままで十分可愛いんだから、変わる必要なんてないじゃねえか!」

「変わらなきゃ、香山君に好きになってもらえないもん!」
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