貴公子と偽りの恋
週が明けた月曜日。

私はいつもより15分早く家を出て、電車をひと駅で降りて、香山君を待った。

香山君が乗り込むはずの後ろから3両目。

私が少し遅れた時だけだけど、この駅の、ここの車両に乗り込む香山君を見た事がある。

早く香山君に返事を伝えたかった。
早く香山君に会いたかった。

そして、香山君と一緒に登校したかった。それは私の夢だったから


目の内側がゴロゴロする。
首の後ろがスースーする。

先週、お母さんと一緒に眼科へ行き、コンタクトを作った。乱視が入っているので、ハードコンタクトを奨められた。目が慣れるまで、一週間以上かかるらしい。

そして昨日、私は美容院へ行って髪をショートにカットして、ナチュラルな茶色に染めてもらった。
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