貴公子と偽りの恋
「どうしたの?」

「ど、どうもしねえよ。あのさ、無理にバレーの話とかしなくていいから。それと、メグだったらどんな話するのか、とか考えなくていいから」

「どうして?」

「俺も知らないから。メグの事は俺もあまり知らないんだ。兄弟がいるのかいないのかとか、何にも知らないから」

「そっか、分かった」

自分の言葉で話せばいいんだ。だったら、何とかなるかなあ。

いや、待って。

だからって、香山君は私や私の家族には興味ないわけだから、結局は何を話せばいいか分からないじゃない。

難しいなあ…

「ハァー」

私が溜め息をつこうとしたら、香山君に先を越されてしまった。

香山君は、私といても退屈なんだろうな…
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