貴公子と偽りの恋
トイレに行かなくて、よかったみたい…

「校章の色で3年という事は分かったんだけど、見た事ない子なんだって。
背はちょっと低めで、髪はショートでちょっと茶色で、目がパッチリした可愛い子で……て、えーっ!? もしかして、あんたなの!?」

「うん。そうみたい」

「どうして早く言ってくれないのよ?」

「恥ずかしくて…」

「香山君、オーケーしてくれたの?」

私は『うん』と頷いた。

「おめでとう、優子。やっと念願が叶ったね?」

「ありがとう」

「なんだか、涙が出てきちゃった」

私のために泣いてくれる恵子を見て、私の目にも涙が溢れた。

でも、恵子と違って私の涙は、単純な嬉し涙ではなかった…
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