貴公子と偽りの恋
香山君はズボンのポケットから紺色のハンカチを出し、広げてコンクリートの上に敷いた。

「え?」

「ケツが汚れるだろ?」

「あ、じゃあ私も…」

私もハンカチを出そうと、スカートのポケットに手を入れたら、香山君はストンと座ってしまった。

「俺はいい」

「ごめんなさい、気が利かなくて…」

「いいから、座れって」

「うん…」

私は遠慮がちに、香山君のハンカチの上に腰を下ろした。


膝の上でお弁当を広げ、「いただきます」と言ってお箸を持った。

まさか、こんな風に香山君と一緒にお昼を食べる日が来るなんて、夢にも思わなかったなあ。

なんか、泣きそう…
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