年上の彼氏


「じゃあ、私からお姉ちゃんに言うよ」

『・・・』

「ライ君はお姉ちゃんのこと知りたいんだよね?」

『それは、そうなんだけどさ』

「じゃ、私とか秋仁さんに聞いても何にも解決しないよ。逃げるなんてライ君らしくない」

『逃げる?』

「お姉ちゃんから逃げてるじゃない。過去は過去だよ。もう戻ることは出来ないんだよ。どんなに戻りたくても・・・。でも、ちゃんと知っておいたほうがいいと思う」

『・・・フッ。柊子、いつの間にか大人になったな』

「え?」

『まさか柊子に背中押されるとは思わなかったよ』

「ライ君」

『もうちょっと考えるよ。頭冷やさないとさ。このまま夏穂に連絡したら酷いこと言ってしまいそうだしな』

「うん」

『じゃあ、またな』

「うん」


電話を切ってから考えてた。

お姉ちゃんに連絡を入れたほうがいいのかな・・・。

秋仁さんに連絡すると「そのまま何もしないほうがいい」と言われて、

気にはなったものの、何も話さず日々を過ごしていた。




1週間ほど過ぎた日曜日、ライ君が秋仁さんのアパートにやって来た。





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