年上の彼氏
「結局値切りもしないでそのまま買うんだから。・・・もったいない」
お店をでて、駅までの道で遥がため息を漏らす。
「いいの!」
私はお気に入りのキーケースが見つかって、大満足だった。
箱に入れてもらって、クリスマス用のラッピングをしてもらったキーケースを、そっと鞄に入れた。
「遥、ありがと」
「はいはい」
嬉しそうな私の隣で、呆れながら返事をする。
「お昼なにがいい?お礼におごるから」
「え・・・ううん、いいや」
「ん?」
珍しく慌ててるな。
「ごめん。お昼に待ち合わせしてるの」
「え・・・あ、例の社会人の人?」
「違う」
「へ?じゃ、誰?」
「・・・真・・」
「真君??」
「柊子と居酒屋行った帰りに、また付き合うことになってさ」
「え?・・・社会人の人は?」
「だって、相手にしてくれないんだもん・・・諦めた」
「遥が、諦めた!?」
「まぁね・・・あ、真だ。・・・じゃね、柊子よいクリスマスを!」
道路の路肩に止まっている一台の車に近づいて、笑顔で車に乗り込んだ。
窓越しに、遥が手を振って、私も振り返していた。
真君は軽く頭を下げたように見えた。
・・・・いいなぁ。
と、思いながらも気持ちは沈んでいなくて、私はスキップするような気持ちで家に帰った。