年上の彼氏
鞄から、自分でラッピングした袋を取り出す。
ケーキの箱を下にしてそのうえにプレゼントを置いた袋。
凄いドキドキする。
震える指で、アパートのインターホンを押した。
ピンポーン。
・・・ヤバイ。
ドキドキしすぎて、心臓がおかしくなりそう。
でも、ここで逃げだしたら・・・・ただの嫌がらせじゃん?
あうあう・・・早く・・・矢崎さ~ん。
持ってる袋を思わず抱きしめてしまう。
あ、やば・・・ケーキがつぶれる。
慌てて袋を持ち直したとき、部屋のドアが・・・開いた。
「はい?どちら様?」
顔を見せたのは・・・・お、女の人で。
・・・あれ?
私、部屋を間違えた?
固まってる私に女の人も不思議顔。
「ごめんなさい。どなたですか?」
女の人の声にハッとして
「あの・・・ここって矢崎さんの・・・」
それだけ言うのが精一杯で。
「あ、はいはい」
にっこり微笑むと、女の人は部屋に入って行って
「秋ちゃん、お客さんだよ?」
中にいる矢崎さんに声を掛けていた。
秋ちゃん・・・・か。
私のことは部屋に入れてくれないのに・・・あの人の事は入れるんだ・・。
「あ?誰?」
不機嫌そうな矢崎さんの声。
「ん~?・・・髪の長い、可愛らしい女の子」
女の子・・・。
女の人じゃないんだ。
なんだかどんどん惨めになっていく。
だけど、
「え!?」
矢崎さんの驚いた声がしたと思ったら、ドタドタと早足になる音が聞こえて
ガツッ。
開いてるドアに手が見えたと思ったら
「柊子ちゃん??」
驚いた矢崎さんが顔を出した。