年上の彼氏
少しの間、矢崎さんとライ君はにらみ合っていて・・・。
そのうちライ君が矢崎さんの胸座を掴む。
「・・・・ってんのか」
矢崎さんの耳元で何か呟くライ君。
でも、その言葉は聞き取れない。
「・・・なんか・・・・ねぇ」
それに何か答える矢崎さん。
やっぱり聞き取れない。
その後、ライ君は矢崎さんと私から腕を離して、
「とりあえず、秋仁のアパート行こうぜ」
と、歩き出した。
あ、そうだ。
「寒くない?」
私が矢崎さんに声をかけると、今まで怖い顔していたのにふわっと優しい笑顔になって、
「大丈夫」
頭を撫でてくれた。
3人とも無言で矢崎さんのアパートに戻った。
玄関を開けると
「おそ~い。どこ行ってたのよ!」
取り残されていた女の人が、口を尖らせ待っていた。
あ・・・私、部屋に入ってもいいのかな。
玄関でもじもじしてたら、それに気が付いた矢崎さんが
「柊子。何してんの?とりあえず入って」
声を掛けてくれた。
その言葉に女の人が反応する。
「え?柊子って・・・もしかして夏穂さんの妹の柊子ちゃん?」
あれ?
なんでお姉ちゃんの名前知ってるの?
「おお」
返事をしたのはちょっと不機嫌なライ君。
「へぇ~・・・秋ちゃんの彼女って・・・ほ~・・・ふ~ん・・・」
女の人は私をジロジロ見ると
「なるほどね・・・さすが秋ちゃん。良く見てるね」
納得したように頷いた。
・・・・なにが?
って、あなたは誰?
なんで秋ちゃんとか呼んでんの?