年上の彼氏


矢崎さんは今、私がプレゼントしたキーケースに鍵をつけいている。

「沢山あるんですね」

覗き込むように見る私に

「ああ・・・アパート、実家、車、会社と、倉庫が3つ」

「そんなにあるんだ。・・・ところでこのペンダントはいつ買ったんですか?」

私はもらったペンダントを触りながら矢崎さんに聞いてみた。

「ああ、それは小春ちゃんに頼まれてさ」

「小春さん?」

「うん。小春ちゃん、ジュエリーショップで働いてて、なんでもそれは小春ちゃんが初めてデザインした物らしくて」

「そうなんだ~」

「売れないから俺に泣きついてきたってとこかな」

フフッと笑いながら話す。

「なに?」

「いや、あんまり必死になって売るからさ・・・おかしくってな・・・よしっ」

鍵を全部つけ終わった矢崎さんは満足そうに微笑んだ。


はぁ~・・・なんで何してもカッコいいのかな。

・・・やっぱりずるい。

「8時半回ったし、送るから」

サイドブレーキをはずして、車はゆっくり走り出す。

「あ、ライ君1人にしちゃったね」

ライ君は1人で矢崎さんのアパートで飲んでいるのだろうか。

「いいの、あいつは。・・・いつものことだから」

ちょっと不機嫌気味に話す。

いつものこと・・・そんな風な存在になれたらいいのに。

なんて、違う事を考えていた。












< 34 / 130 >

この作品をシェア

pagetop