年上の彼氏
矢崎さんは今、私がプレゼントしたキーケースに鍵をつけいている。
「沢山あるんですね」
覗き込むように見る私に
「ああ・・・アパート、実家、車、会社と、倉庫が3つ」
「そんなにあるんだ。・・・ところでこのペンダントはいつ買ったんですか?」
私はもらったペンダントを触りながら矢崎さんに聞いてみた。
「ああ、それは小春ちゃんに頼まれてさ」
「小春さん?」
「うん。小春ちゃん、ジュエリーショップで働いてて、なんでもそれは小春ちゃんが初めてデザインした物らしくて」
「そうなんだ~」
「売れないから俺に泣きついてきたってとこかな」
フフッと笑いながら話す。
「なに?」
「いや、あんまり必死になって売るからさ・・・おかしくってな・・・よしっ」
鍵を全部つけ終わった矢崎さんは満足そうに微笑んだ。
はぁ~・・・なんで何してもカッコいいのかな。
・・・やっぱりずるい。
「8時半回ったし、送るから」
サイドブレーキをはずして、車はゆっくり走り出す。
「あ、ライ君1人にしちゃったね」
ライ君は1人で矢崎さんのアパートで飲んでいるのだろうか。
「いいの、あいつは。・・・いつものことだから」
ちょっと不機嫌気味に話す。
いつものこと・・・そんな風な存在になれたらいいのに。
なんて、違う事を考えていた。