年上の彼氏
紗江さんが見えなくなるまで見送ると、矢崎さんは私をみて
「いくか」
と、手を繋いでくれた。
「うん」
笑顔で返事はするけど・・・明日のパーティ・・・そして木曜日の送別会が凄く気になっていた。
紗江さんとは・・・本当に友達?
それ以外の関係はなかった?
どこまで聞いてもいいんだろう。
矢崎さん。
あなたの心の中に私は・・・いますか?
優しく繋がれた手をギュッと握ると、矢崎さんは私を見て微笑んでくれる。
・・・好き。
その笑顔で私の不安は少し和らぐ。
この手を離したくない。
だけど、全然消えたわけじゃなくて。
不安な気持ちは消えないまま送ってもらい、結局なにも聞くことが出来なかった。
・・・当然のことだけど、月曜日と木曜日は会えなくて。
火曜日と水曜日は残業で会えなかった。
もやもやがどんどん積もって、何も手につかなかった。
ずっと心に引っかかってるのは、矢崎さんの紗江さんを見るときの笑顔。
私のときより優しいんじゃないかって思う。
矢崎さん本人に聞くのは怖いから。
私は木曜日の夜、矢崎さんのアパートの近くでライ君が来るのを待った。
ライ君だったらきっと何か知ってる。
聞きたい。
でも、怖い。
だけど・・・・。