年上の彼氏
「柊子?」
10分くらい待っただろうか。
歩いてきたライ君は私をみつけると、足早に近づく。
「どうした?秋仁なら部屋にいるよ?」
不思議そうな顔で私を見てる。
「あ、うん・・・今日はライ君に用があって・・・」
「俺?」
コクンと頷く私を見て、何か感じたのか。
「ちょっと待っててな」
私の頭をくしゃってして、矢崎さんのアパートに入っていく。
少しすると、矢崎さんの車の鍵を持って私のところへやって来た。
「柊子、乗って」
矢崎さんの車の鍵を開けると、ニコッと微笑んだ。
ライ君は私を乗せると、私の家の方向に向かって走り出した。
「秋仁にはタバコと酒買ってくるって行ってきたから、あんまり時間ないけど・・・聞きたいことあるんだろ?」
運転席の窓を少し開けて、タバコに火をつけたライ君が言った。
「うん。・・・紗江さんのこと・・・・」
「・・・紗江・・・か・・・」
「矢崎さんがモテるのはわかるの。女の人の知り合いも多いことも知ってる。だけど、紗江さんの事は何か違うような気がするの・・・」
「柊子は案外勘がいいんだな」
ライ君は私を見て、少し複雑そうな顔で微笑む。
「え・・・」
「隠しても仕方ないし。俺の知ってることを教えるよ」
「うん」
胸が、ドキドキする。
「俺も秋仁から直接聞いたわけじゃないし、噂とか雰囲気とかだけど・・・」
「うん」
ドキドキが加速する。
「紗江は・・・・」
紗江さんは?
「・・・秋仁が初めて本気で惚れた女・・・かな」
『本気で惚れた女?』
「って、どういうこと?」
ライ君は私の家の近くで車を止めると、背もたれにもたれて、話す。