年上の彼氏
「信用できない?」
矢崎さんの言葉に、首を横に振るしか出来なかった。
・・・矢崎さんは嘘は言わない。
でも、教えてくれないことが沢山あることも知ってる。
私が不安にならないように。
最低限必要な言葉以外は言わないようにしてくれてる。それは、わかってる。
「柊子、こっち向いて?・・・顔が見たい」
優しく言われると、逆らえなくて・・・。
私はゆっくりと矢崎さんの方を向く。
「何で紗江のことが気になるのかわからないけど、昔からの友達なんだよ。それ以外は何もないよ」
「・・・ん・・・」
優しく温かいぬくもりに包まれてると凄く安心できる。
だけど、それと同時に涙が溢れてくる。
自分でもどうしてなのか、わからない。
でも、涙が止まらなくて。
「・・・柊子?」
優しく名前を呼ばれると、胸がきゅーってなって。
「・・すき」
呟くように声がでてた。
「うん・・・俺も」
抱きしめる腕に力がこもって。
優しく髪を撫でてくれる矢崎さんの手が気持ちよくて。
「・・・っ・・・うっ・・・」
今まで不安だった思いが抱きしめられた温かさで一気に溢れだす。
何も言わず抱きしめてくれている矢崎さんに安心して、いつの間にか泣き疲れて眠ってた。