年上の彼氏
「あの・・・1270円になります」
「あ、はいはい。・・・ふ~ん」
なんなんだろう・・・矢崎さんに目を向けると、ちょっと怖い顔をしていて。
私が見ていることに気がつくと、困ったような顔をして笑った。
ちょ・・・いきなりその顔は・・・やめて欲しい。
ドキドキする~。
「1500円お預かりします・・・230円のお返しになります」
「は~い」
何?その返事の軽さ。
「ありがとうございました」
「いえいえ・・・また来るね」
「あ、はい。ありがとうございます」
織田さんに営業スマイルを見せると
「今日、終わったら電話する」
横から・・・嬉しい言葉。
「はいっ。待ってます!」
思わず織田さんに袋を渡しながら、矢崎さんを見る。
「・・・それはずるい」
と、不機嫌そうに織田さんが言った。
「うるせぇ」
矢崎さんとのやり取りが、いまいちわからない私。
「じゃ、柊子ちゃん、またね~」
笑顔で手を振る織田さん。
・・・・かるっ。
「はい。ありがとうございました」
一応言っておこう。
言いながら、私の目は矢崎さんを追っていた。
・・・カッコよすぎでしょ・・・。
作業着なのに、なんでカッコいいかな・・・。
ずるい。
織田さんと何か話をしながら車に乗り込んだ2人は、また次の仕事に行くんだろう。
運転席に座った矢崎さんは、車を発進させた。