年上の彼氏
どこに向かってるとか、そんなんじゃなくて。
ただただボーっと歩いてた。
どのくらい歩いたのか。
気がつくと人気の無い小さな公園に出た。
そこにはブランコが2つとベンチが1つあるだけだ。
私はゆっくりとベンチに腰をかけた。
時間は朝の9時を過ぎていた。
徐々に暑くなってきている外の空気を思いっきり吸って・・・その倍はあるであろうため息を吐いた。
「どうしたらいいのかな」
1人呟いた言葉は真夏の空気に吸い込まれていった。
少し歩いたからか、気持ちはアパートにいるより落ち着いていて。
鞄置いてきちゃったから・・・戻らないとダメだなぁ。
それでも財布の入った小さなポーチは持っていて。
携帯も置いてきてしまった。
やりかけの課題もそのままだ。
今頃紗江さんを見送ってる頃かな。
座りながら色々考えてた。
紗江さんのこと・・・ちゃんと聞いたほうがいいかな。
矢崎さんはちゃんと答えてくれる。
・・・だけど・・・聞いちゃったら・・・終わっちゃうかな。
矢崎さんとの関係。
聞きたい。
でも、怖い。
ピアスのことは、何も無い振りをしたほうが良いのかな。
どうしよう。
どうすることが一番いいの?
ベンチに座りながら、経験の無い私の頭で必死に考えてた。
夏の暑さにしっとりと汗をかいてる。
「暑い」
もう、我慢できない。
暑すぎる。
ちょうど財布持ってるし、どこかで涼もう。
私はゆっくりと公園を後にした。