年上の彼氏


歩いている途中でファミレスに入った。

す、涼しい・・・。


席に座ると、アイスティを注文。

ゆっくり飲みながら時間がたつのを待っていた。


私が矢崎さんの隣にいてもいいのだろうか。

足手まといになっていないのだろうか。

もっと大人だったら良かったのに。

『出合ったのが早すぎたのかもな』

ライ君の言葉。


本当にそうなのかな・・・。


悪い方向へ考えるのは私の悪い癖。

カラン。

アイスティーの氷の音が耳に付く。


それと同時に隣の席に座ったカップルの言葉が耳に入った。

「お前はどうしたいんだよ」

「・・・・」

彼の問いかけに何も言わない彼女。

「あのさ、前から思ってたんだけど・・・俺は、お前の考えを聞きたいんだよ。言葉にしてくれないとわからねーからさ」

彼の言葉にハッとする。


私は矢崎さんに自分の気持ちをちゃんと伝えていただろうか。

彼は大人だからだとか、経験が多いからとかそんな事を言い訳にして、都合よく気持ちを察して欲しいって考えてなかった?


「柊子、もっと我侭いってもいいんだよ」

矢崎さんはいつも私の意見を求めてくれてた。

「どこいきたい?」

「何食べたい?」

それに対して

「どこでもいいよ」

「なんでもいいよ?」

時々自分の意見を言うことはあったけど、いつも矢崎さんに・・・・頼ってた。



頼ってばかりだった。



私は急いでアイスティーを飲み干すとファミレスを後にした。






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