年上の彼氏
「考えて考えて、悩んで悩んで・・・・結局中絶することを選んだのよ」
・・・中絶。
「柊子は今、怖い?」
突然投げかけられた質問。
怖い?
「・・・うん」
「色々考えたでしょ?」
「・・・うん。自分のこともそうだけど。赤ちゃんのこと、秋仁さんのこと、お母さんのこと・・・これからの将来のこと・・・頭がパンクしそうだった」
「・・・それでいいのよ」
「え?」
「悩んで当たり前なの。柊子はまだ18だしね。体は妊娠できる準備があっても、心がついていかないと子供を育てることは出来ないわ。もちろん若くてもちゃんと育ててる人もいる。」
「・・・うん」
「まぁ、柊子の場合はまだ妊娠したって決まってるわけじゃないから」
「・・・うん」
「それに、秋仁はもういい年だし、子供が出来ていてもちゃんと受け止めてくれるわよ」
「・・・・うん」
秋仁さんは・・・どう思うんだろ・・・。
・・・ん?
そういえば『秋仁が言わないないかぎり』って言ってたよね?
「お姉ちゃん」
「うん?」
「秋仁さんはお姉ちゃんの妊娠のことなんで知ってたの?」
「・・ああ・・そのこと」
お姉ちゃんはチラッと時計をみると、
「走りながら話すわね」
そう言って、車にエンジンをかけると来た道を戻りだした。