年上の彼氏
「でもね・・・後悔はしていないのよ。これでよかったんだって。・・・だけど時々考える。あの時意地でも産んでいたら・・・私は雷太の側に今でもいられたんじゃないかって・・・違う未来もあったんじゃないのかって。・・・ま、今の生活も嫌いじゃないんだけどさ」
「・・・・うん」
「生きてるとさ、いろんな道があって選んだ道はこっちで本当に良かったのかって考える時って誰にでもあると思うの。柊子もこれから沢山経験すると思うけどね」
「うん」
「引き返してやり直せることもあれば、そうじゃないこともあるけど、今選んだ道を精一杯生きることしかできないし、今の人生を楽しめなかったら結局違う道を選んでも楽しめないと思うの。だからくよくよ考えないで失敗しても、今できる一番いい方法を考えて前に進む。・・・・そうすることにしたんだ。・・・人生って一度きりじゃない?どうせなら笑って過ごすことを考えたほうがいいかなってね」
「・・・強いね、お姉ちゃん」
私はそんなに強く生きられるだろうか。
「・・・な〜んて。偉そうなこと言っても全然凹んじゃう日の方が多いんだけどさ」
そう言いながら笑って方をすぼめる。
なんとなくだけど、これからの自分の生き方って考えしだいで変えることができる事もあるのかもしれない。
そんな事をお姉ちゃんの話を聞きながら考えていた。
「ちょっと待ってて」
いきなりスーパーの駐車場に車を止めたかと思ったら、スーパーに入っていく。
5分くらいして戻ってきたお姉ちゃんの手には小さな紙袋と缶の紅茶が2本。
「おまたせ〜。柊子飲むでしょ?」
そう言ってドリンクホルダーに2本紅茶を入れた。
「あ、うん。ありがと」
「それとこれも」
持っていた紙袋を渡され
「何?」
そっと覗いてみると・・・・・妊娠検査薬。
「これ・・・」
「1週間遅れてるって事は、出来ていれば間違いなく陽性反応がでるから」
お姉ちゃんの言葉に、心臓がドキドキし始める。