雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
Prologue -S-
紫がかった夕陽が、私たちの過ごす部屋を甘く照らしている。
「好きだ……、紗矢花」
ベッドの上で低く愛を囁く彼は、私の首筋や背中に口づけていく。
こうして肌を重ねているときだけ、彼に愛されていると感じる。
たとえ、私の他に愛している人がいたとしても。
彼と繋がっていられるこの瞬間は、私だけのモノなのだと信じられた。
「私も……好き」
かすれた小さな声で私は応える。
「私のことだけ、見て」
懇願にも似た台詞を言いながら、シーツを握りしめた。
「見てるよ。当たり前だろ?」
苦笑混じりの言葉に安心した私は、そのあとは彼にすべてをゆだね、彼を悦ばせるための甘い声をあげ続けた。
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