雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
「その話はさっきの電話で終わっただろ? 蒸し返すなよ」
「ごめん……」
私も疑いすぎだとは思うけど、心の隅にまだしこりは残っている。
「俺には紗矢花だけなんだから、少しは信用しろよ」
「……うん」
一応うなずいて、彼を問い詰めるのは終わりにした。
また喧嘩になったら、彼と一緒にいられなくなるから。
「……今度あいつと二人きりになれば、浮気と見なすからな」
強い口調を和らげ、私の髪を優しく撫でる。
「響、妬いてるんだ?」
私は嬉しくなって彼の首に抱きついた。
「妬くとかの問題じゃねぇよ、俺はあいつを信用してないだけだ」
「そうなの? 大丈夫だと思うんだけどな。……でも、これからは二人きりにならないようにするね」
その言葉に安心したのか、彼は私を抱きしめ返し、髪にキスをした。
同時に、大きな手が私の背中をなぞり、柔らかな唇が首筋を這う。
「……待って響、さっきもしたでしょ」
「あいつと寝てきたわけじゃないんだろ? なら、問題ない」